子どもの成長を願う節句
幕府が定めた五つの節句(五節句)の中でも特に盛大に行なわれていたのが上巳の節句と端午の節句です。上巳の節句は雛祭りを行なう日で、現在と同様に大奥でも雛人形を飾りました。長局に飾られた老女の雛人形に限り、奥女中の親戚など庶民でも大奥に入り見物することができました。端午の節句も現在に引き継がれている形と同様、柏餅やちまきを食べ五月人形を飾ります。この五月人形などの節句飾りは諸大名が若君へと献上したものなので、庶民に公開はしていません。御台所や奥女中が鑑賞するものでした。
この子も立派な若君・姫君
節句に人形を与えて祝ったのは人間の若君・姫君だけではありませんでした。奥女中が飼っている子猫も、雄であれば端午の節句に五月人形を買い与えて盛大に祝っていました。もちろん上巳の節句では雌の小猫にも雛祭りをしていたと言われています。