無血開城の影の立役者
大奥は1868年4月、江戸城の無血開城をもって終わりを迎えました。しかし本来であれば江戸城は3月15日に予定されていた江戸総攻撃で穏やかでない最後を迎えるはずでした。それを阻止するのに一役買ったとされているのが、13代将軍・家定の正室・天璋院(篤姫)と14代将軍・家茂の正室・静寛院宮(和宮)です。東征大総督府の主要人物と縁のある彼女たちは東征軍へ徳川家存続の嘆願書を送ったとされています。これらの嘆願の多くは受け入れられなかったそうですが、総督府参謀の西郷隆盛らの心を動かしたきっかけにはなったのではないでしょうか。最終的に西郷と幕府の陸軍総裁・勝海舟の間で行なわれた会談により江戸総攻撃は回避されました。
貴重品を置いていくほど
明け渡された江戸城の、天璋院の部屋と静寛院宮の部屋には貴重な絵画や珍品の香炉、時計など価値のあるものが飾られたままになっていました。道具を充分に整理する時間がなくなってしまうほど熱心に嘆願書を書いていたのでしょうか。そのおかげで徳川家は守られ、江戸の町も戦火から逃れたと考えると素晴らしい自己犠牲だと思いませんか。